こういうの |
くすんだモノトーンに近い色合い(いわゆるシルバーグレー)は落ち着きがあり床板によく合います。
安物床材であの感じが出れば成功じゃないかと、あれを塗装で出せる方法はないかと探してみました。
結論を言ってしまうと、新しい木材で古材の風合いを出すのは相当難儀なことです。一旦木材の色を脱色してしまうくらいしかない。(というかそもそも古材の色は風化による脱色で出来る)
木質にもよるでしょうが、元の木の色が影響するので塗装だけでシルバーグレーにするのは無理があります。
特に今回の杉板によくある赤みの強い木目などはどうしようもない。
↓ ↓
どうすりゃシルバーグレーになると?
ならば人工的に脱色する手はないのかと調べてみたけど、素人レベルで手に負えるものでもないようで、結局シルバーグレーな床板は早々に挫折。
で、他に簡易にできる方法として今回試したのがスチールウールとお酢を使った自家製塗装。
厳密には塗装じゃなく変色ですが、面白い効果が出ます。
エイジング方法の一つとして海外ではよく使うようで、YouTubeあたりに動画が結構あります。
作るのは簡単、お酢にスチールウールを漬け込んでしばらく寝かせておくだけ。
スチールウールの鉄分が酸によって溶け出すと酢酸鉄ができ、それが木材と反応することで変色が起こります。
今回はコンビニで売ってたお酢と100均のスチールウール、ガラス瓶でやってます。
スチールウールを使うのは単に溶けやすいからで、鉄ならなんでもいいようです。
ガラス瓶なのはみんなガラスを使ってるので(笑)。
本来ならホワイトビネガーという透明のお酢でやるようですが、やった限りでは特に問題はなさそう。
スチールウールを漬け込んで2〜3日放置した状態。
1日目から十分使えますが、日が経つごとにさらに濃度が増していきます。
本来スチールウールは完全に溶けてしまうみたいですが、100均のスチールウールは別の物質も入ってるのか1週間くらい経っても残ったまま。
ちなみに匂いはものすごいです、文字通りの「悪臭」。ワトコオイルのオイル臭すら気になる人はやめたほうがいいです。
そのまま乾かす。
乾燥後。
明らかに塗装ではなく変色、化学反応です。
オイルステインなら乾燥すると色は落ち着いていきますがこれは逆、乾くまでどんどん色が濃くなっていく。
原理は木材に含まれるタンニンが鉄分と反応してどうとかこうとか・・。
古材とまではいきませんが、面白い色合いになります。相性のいい木材ならもっと古材風になるかもしれません。
どれくらいの濃度になるかは乾くまでわからないので、何度か試し塗りをして感覚を覚えます。
下の画像はスチールウール+お酢(以下スチールビネガー)とワトコオイルの比較。
杉床材の裏面で実験。赤みの強い板で試してます。
左から無塗装(オリジナル)、スチールビネガー(SB)の1回塗り、2回塗り、ワトコオイル。ワトコは一番古材に近いと言われるダークウォルナット。
ワトコとスチールビネガーを比べてすぐに分かるのは板の白っぽい部分(板の上下端)の色乗り。スチールビネガーは2回塗りでもさほど色が変わっていません。
逆に赤身の部分はかなり濃く変色していて、元の木の色(タンニンの含有量)に大きく影響されているのがわかります。
ワトコオイルは比較的全体に色が乗っています。
これが塗料と化学反応の違いですね。
もう一つは木目の部分、画像は分かりにくいですがワトコは木目(冬目)がくっきり浮き出るのに対し、スチールビネガーは木目にも変色が及んでいます。
オイルステインはこの木目とのコントラストが特徴ですが、相性が悪いばあい木目の色のおかげで妙な色合いが出来てしまいます。逆にスチールビネガーはコントラストが低くなり、のっぺりしていく傾向があります。
またオイルは入ってないので当然ながらマット(つや消し)な仕上がり、塗装感のない自然な風合いでこれは個人的には好印象。
次にスチールビネガーを塗る前にタンニンの量が多い紅茶を塗ってみます。
ティーパックを何個も入れて濃度を上げた紅茶を作り、板に浸透させてからスチールビネガーを塗ります。
同じ板の左側で実験。
今回は塗った先から変色が始まりました。はっきりと反応が強くなります。
上下の白い部分も色が濃くなり、木目部分の浸透も強くなっています。1回塗りで2回分の濃度に近づいています。
紅茶によって増えたタンニンに反応し変色が促進されるわけです。
要するにタンニンの量を調節すれば変色効果をコントロールできるというわけで、これもこの塗装方法の面白いところ。
この他にもコーヒーや玉露もタンニンが多く、変色の促進剤として使えるようです。
ちなみに重曹(こちらは水に溶かすだけ)もスチールビネガーと同じような変色作用があります。
原理はやはりタンニンがアルカリ性溶液と反応してどうとかこうとか・・。(重曹は乾くと結晶が吹き出しましたが、拭き取れば大丈夫)
今回の塗装はこれらを基にパターンを作りました。
作ったのは白系、茶系、グレー、ダーク系、白のベタ塗り。
実際の塗装について。
上から白系、グレー、茶系、ダーク系。
塗装その1:白系
これはポアーステインを水で1/2くらいに薄めて塗るだけ。
伸びがいいので特にムラもなく簡単に塗れる。白木っぽい、いい感じになります。
塗装その2:グレー
1の塗装が乾燥した後にスチールビネガーをお酢で薄めて上から塗る。
下地が白いことでグレーのいい色合いが出る。
色が濃すぎる時はサンダーで軽く研磨。木目ももっと染まってくれるといいんですけどね。
ちなみに濃い溶液を使うと茶系の少ないブラックな色も作れて、これもまた面白いです。
塗装その3:茶系
紅茶2度塗り。乾燥した後コーヒーで上塗り、適度な濃度を作る。これは思ったより発色が良く、今回の中では一番目立つ色になってしまいました。
塗装その4:ダーク系
紅茶を塗り、ある程度浸透してからスチールビネガーを薄めずに塗る。このままではかなり濃くなるのでこれもサンダーで調節。
塗装その5:白のべた塗り
これは板の状態がひどいものや塗装に失敗した板の再利用も兼ねて。
ただのベタでは味気ないのでひび割れを作ってます。
ひび割れは普通の糊で作ります。
スティック糊と液状糊を試してみましたが、液状の方がひびを出しやすいように思います。
ダーク系に塗装した板を用意し、上から液状糊を塗って適当にムラを作りながら伸ばす。
ちょっと間を置いてから塗料を塗る。
糊がついてるので塗りにくいですが塗料を上に乗せるように厚塗りします。
乾くとこんな感じ。画像は全面に糊を塗ったので盛大にヒビが入ってますが、もう少し控えめな方が良いかもしれません。
あとはヤスリで研磨したり汚しを入れたり別の色を上塗りしたり、お好みで。
以上、無垢材フローリング塗装編でした。
この後ワックスをかける予定でしたが、ワックスの推奨気温というのがあってそれが10℃以上。今は寒波の真っ只中で気温は1℃しかない(笑)。この先の週間予報でも10℃以上はなく、いつになったら出来ることやら。
作るのは簡単、お酢にスチールウールを漬け込んでしばらく寝かせておくだけ。
スチールウールの鉄分が酸によって溶け出すと酢酸鉄ができ、それが木材と反応することで変色が起こります。
スチールウールを使うのは単に溶けやすいからで、鉄ならなんでもいいようです。
ガラス瓶なのはみんなガラスを使ってるので(笑)。
本来ならホワイトビネガーという透明のお酢でやるようですが、やった限りでは特に問題はなさそう。
スチールウールを漬け込んで2〜3日放置した状態。
1日目から十分使えますが、日が経つごとにさらに濃度が増していきます。
本来スチールウールは完全に溶けてしまうみたいですが、100均のスチールウールは別の物質も入ってるのか1週間くらい経っても残ったまま。
ちなみに匂いはものすごいです、文字通りの「悪臭」。ワトコオイルのオイル臭すら気になる人はやめたほうがいいです。
まず実験。お酢で1/2に希釈したものを無垢の杉板に塗ります。
塗った直後はほとんど無色透明。見えないので、塗り残しがないようにたっぷり塗っておいてウェスやキッチペーパーで表面を拭き取る。塗り残しの境界はシビアに跡が出るのであまり綺麗ではない。そのまま乾かす。
乾燥後。
明らかに塗装ではなく変色、化学反応です。
オイルステインなら乾燥すると色は落ち着いていきますがこれは逆、乾くまでどんどん色が濃くなっていく。
原理は木材に含まれるタンニンが鉄分と反応してどうとかこうとか・・。
古材とまではいきませんが、面白い色合いになります。相性のいい木材ならもっと古材風になるかもしれません。
どれくらいの濃度になるかは乾くまでわからないので、何度か試し塗りをして感覚を覚えます。
下の画像はスチールウール+お酢(以下スチールビネガー)とワトコオイルの比較。
杉床材の裏面で実験。赤みの強い板で試してます。
左から無塗装(オリジナル)、スチールビネガー(SB)の1回塗り、2回塗り、ワトコオイル。ワトコは一番古材に近いと言われるダークウォルナット。
ワトコとスチールビネガーを比べてすぐに分かるのは板の白っぽい部分(板の上下端)の色乗り。スチールビネガーは2回塗りでもさほど色が変わっていません。
逆に赤身の部分はかなり濃く変色していて、元の木の色(タンニンの含有量)に大きく影響されているのがわかります。
ワトコオイルは比較的全体に色が乗っています。
これが塗料と化学反応の違いですね。
もう一つは木目の部分、画像は分かりにくいですがワトコは木目(冬目)がくっきり浮き出るのに対し、スチールビネガーは木目にも変色が及んでいます。
オイルステインはこの木目とのコントラストが特徴ですが、相性が悪いばあい木目の色のおかげで妙な色合いが出来てしまいます。逆にスチールビネガーはコントラストが低くなり、のっぺりしていく傾向があります。
またオイルは入ってないので当然ながらマット(つや消し)な仕上がり、塗装感のない自然な風合いでこれは個人的には好印象。
次にスチールビネガーを塗る前にタンニンの量が多い紅茶を塗ってみます。
ティーパックを何個も入れて濃度を上げた紅茶を作り、板に浸透させてからスチールビネガーを塗ります。
同じ板の左側で実験。
今回は塗った先から変色が始まりました。はっきりと反応が強くなります。
上下の白い部分も色が濃くなり、木目部分の浸透も強くなっています。1回塗りで2回分の濃度に近づいています。
紅茶によって増えたタンニンに反応し変色が促進されるわけです。
要するにタンニンの量を調節すれば変色効果をコントロールできるというわけで、これもこの塗装方法の面白いところ。
この他にもコーヒーや玉露もタンニンが多く、変色の促進剤として使えるようです。
ちなみに重曹(こちらは水に溶かすだけ)もスチールビネガーと同じような変色作用があります。
原理はやはりタンニンがアルカリ性溶液と反応してどうとかこうとか・・。(重曹は乾くと結晶が吹き出しましたが、拭き取れば大丈夫)
今回の塗装はこれらを基にパターンを作りました。
作ったのは白系、茶系、グレー、ダーク系、白のベタ塗り。
なるべくトーンが同じになるようすべて水性、白系以外は自家製ステインを使う。
自家製ステインは初めて作ってみましたが、これは非常に安上がりな上、色の微調整が好きなように出来るので結構面白いです。
使ったものはこんなとこ。右からスチールビネガー、お酢に紅茶、お酢にコーヒー(水でも良さそうですが一応)、和信ポアーステインの白、ベタ塗り用にターナーミルクペイントのスノーホワイト。
自家製ステインは初めて作ってみましたが、これは非常に安上がりな上、色の微調整が好きなように出来るので結構面白いです。
使ったものはこんなとこ。右からスチールビネガー、お酢に紅茶、お酢にコーヒー(水でも良さそうですが一応)、和信ポアーステインの白、ベタ塗り用にターナーミルクペイントのスノーホワイト。
実際の塗装について。
上から白系、グレー、茶系、ダーク系。
塗装その1:白系
これはポアーステインを水で1/2くらいに薄めて塗るだけ。
伸びがいいので特にムラもなく簡単に塗れる。白木っぽい、いい感じになります。
塗装その2:グレー
1の塗装が乾燥した後にスチールビネガーをお酢で薄めて上から塗る。
下地が白いことでグレーのいい色合いが出る。
色が濃すぎる時はサンダーで軽く研磨。木目ももっと染まってくれるといいんですけどね。
ちなみに濃い溶液を使うと茶系の少ないブラックな色も作れて、これもまた面白いです。
塗装その3:茶系
紅茶2度塗り。乾燥した後コーヒーで上塗り、適度な濃度を作る。これは思ったより発色が良く、今回の中では一番目立つ色になってしまいました。
塗装その4:ダーク系
紅茶を塗り、ある程度浸透してからスチールビネガーを薄めずに塗る。このままではかなり濃くなるのでこれもサンダーで調節。
塗装その5:白のべた塗り
これは板の状態がひどいものや塗装に失敗した板の再利用も兼ねて。
ただのベタでは味気ないのでひび割れを作ってます。
ひび割れは普通の糊で作ります。
スティック糊と液状糊を試してみましたが、液状の方がひびを出しやすいように思います。
ダーク系に塗装した板を用意し、上から液状糊を塗って適当にムラを作りながら伸ばす。
ちょっと間を置いてから塗料を塗る。
糊がついてるので塗りにくいですが塗料を上に乗せるように厚塗りします。
乾くとこんな感じ。画像は全面に糊を塗ったので盛大にヒビが入ってますが、もう少し控えめな方が良いかもしれません。
あとはヤスリで研磨したり汚しを入れたり別の色を上塗りしたり、お好みで。
以上、無垢材フローリング塗装編でした。
この後ワックスをかける予定でしたが、ワックスの推奨気温というのがあってそれが10℃以上。今は寒波の真っ只中で気温は1℃しかない(笑)。この先の週間予報でも10℃以上はなく、いつになったら出来ることやら。
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