10月 10, 2014

トレードのト


サイコロで偶数か奇数を当てるゲームをしているとします。
いま5回サイコロを振り5回連続で奇数が出ています。6回目、どちらに賭けますか?



サイコロを何回振ろうが次にどちらかが出る確率は1/2なので、答えは「どちらに賭けても同じ」です。これは冷静に考えれば分かります。しかし実際にこういう場面に直面すると、たとえ分かっていてもかなりの割合で偶数に賭ける人が出てくると思います。これはなぜでしょう?当たり前の事ですが人には記憶があるからですね。5回連続で奇数が出たということを知ってるからです。
確率1/2なのに奇数が5回出たなら今度は偶数の方が出やすくなるだろうという考えは、自分の記憶や知識に縛られてるだけです。サイコロには記憶はないんで、自分が何回奇数を出してようが知ったこっちゃないわけです。(これを無記憶性という。ちゃんとした数学用語。)

人の行動は記憶に大きく依存しています。論理的思考をのぞけば頼るものがそれくらいしかないからですね。そして過去の記憶から判断する事は往々にして正しい、というこれまた過去の記憶があるからです。
実際は記憶には正しい根拠があるものとそうでないものがあります。しかし人がその区別をつけて行動に反映する事はなかなか出来ない。記憶は行動の基盤になるもので、それにいちいち疑問を持つのは困難です。
そのため上の例のように可能性が半々ならその記憶が論理的に何の根拠のないものであっても人はそれを行動に加味するんですね。そういうことが積み重なっていくことで知らず知らずに行動が歪み始めます。

相場は人の意識で動いています。個々の意識は集団意識となりランダムウォークを生みます。そこに論理は通用しません。そのため人は簡単に過去の記憶に依存してしまいます。そしてその行動に何の根拠もなかったことにあとで気付き思い知ります。トレードではこの本来味方になるはずの記憶や知識が逆に問題をややこしくします。相場を正しく読むには記憶や知識をひとつひとつ再考し、根拠あるものだけを積み重ねていくしかありません。そうしないと人はいつまでもサイコロで偶数を選択し続けてしまいます。
これは本を読んだり人に教えてもらえば済む話ではなく、体にしみ込むまで自分に教え込むしかありません。  レバレッジのバランス、損切りの対処、エントリー、利益確定、この問題はトレードのあらゆる状況で現れます。そのとき頼りになるのは自分が体得した経験しかありません。
ちなみにビギナーズラックというのがありますが、これは無駄な記憶や知識を持ってない、邪念がないことからきます。奇数が連続していることすら知らず、何の抵抗もなく奇数を選択できる人です。相場は確率的には1/2なのでこれが頻繁に起きます。ビギナーでなくとも起こります。しかしそれは根拠のない記憶として残り、その後いつまでも足を引っ張ることになります。

さらに記憶は感情にも波及していきます。たとえば勝ち癖、負け癖というのがありますが、勝ち癖は大事なものでそれだけで成長が早くなり、精神的に楽になり、有利な立場に立てます。ただこれも根拠のあることが前提です。それが根拠ないものであった場合、いわゆる慢心というやつで下手すると破滅まで追い込まれます。負け癖は無駄に恐怖を生み、それがまともな思考すら妨げ人を疲弊させます。

トレードはシンプルな世界です。上がるか下がるかしかない2択の世界です。利益を出す方法もシンプルです、複雑に考えても特別な方法などありません。そのため記憶や知識の内容以前にこういう人の本能的な部分のコントロールが想像以上に重要になってきます。
一番効果があるのは千本ノックのごとく何度も練習することだと思います、何度も失敗を繰り返し何度も成功を体験すれば、自分にとっての正しい行動が見えてきます。

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